数ある Windows 用アーカイバでも総合的にデザインが秀逸。
最近,良い柔品徹案(ソフトウェアデザイン)とは何か,みたいなことをよく考えているのだが,その中で Windows の解凍レンジをよく思い出す。ゴテゴテ複雑な方が技術的に高度に見えるのだが,実は単純に分かりやすくまとめる方が難しい。
いまさらながら,Windows のフリーウェア『解凍レンジ』は良くできているな,とふと思った。
昔から,インストールしたての Windows でファイルの展開に困ると,なんとなく解凍レンジを入れることが多かった。この手のソフトは数あるが,対応圧縮ファイル形式の種類が多すぎたり少なすぎたり,外部 DLL やプラグインに依存していたり,バランスの取れたものは少ない。解凍レンジは,最低限対応していてほしいファイル形式に対応しつつ導入も使用も簡単で,無駄な作業をさせないのが良い。
解凍レンジよりもプログラミング的に高度なものはいくらでもあるのだろうが,その中でも群を抜いて(美術的な意味にとどまらない)「デザイン」の良さを感じさせる。機能や設定項目の要点を押えて絞り込み,分かりやすい名前やアイコンを付け,一つのソフトをコンセプトとして上手くまとめるのは意外に難しい。しかも,それが巧妙であればあるほど技術的な凄みを感じさせないので,こういう点に限って技術としては評価されにくい。
例えば『Z Archive System++, Glasgow Edition 3』(架空)みたいな名前で機能を山盛りにしたソフトと並べたら,普通は『解凍レンジ』なんて名前からして素人臭く思えてしまうだろう。
もちろん,「初心者にも使いやすいファイル展開ソフト」としては定番と評価されているのだが,技術力の無い人が無料で公開している単純なソフトがたまたま受け入れられているわけではない。