「希哲学」(きてつがく,おもいかけのまなび)は,西周による「philosophy」の訳語である。現代日本語における「哲学」という語はこれに由来する。
津田真道の『性理論』の跋文に西周が書いたものが初出とされる。
宇田川の用語としては,精神を表わす「希哲」と学問的伝統を表わす「哲学」の総称である。希哲学から「希」が抜けて「学」が残ったのが現代の日本における「哲学」であり,「希」を取り戻すことで「希哲学」を復興することを希哲館の使命としている。なお,この希哲学は英語でもラテン語風に「philosophia」と訳すことがある。これは,英語における「philosophy」にも意味が漠然とし過ぎている嫌いがあるため,原点回帰の意図を強調したものである。
ただし,この用法は希哲館創立(2007年)以後のもので,それ以前に「希哲学」は宇田川が構想する独自の学問体系の名称に使っていた(英語名は「philosophics」)。この希哲学を基礎に希哲館が生まれた。現在,この学問体系は「綜学」と称しており,希哲学の一種という位置付けである。これには,「希哲学」そのものを具体的な知識の内容から切り離し,可能な限り普遍的に,広く適用可能な理念として位置付ける意図がある。