「仕様書どおりにつくるエンジニア」は凄い

描主宇田川浩行K#F85E
上描き希哲13年(2019年)
06月14日 00:38
下描き希哲13年(2019年)
06月14日 00:34
利承
ライセンス
希哲館普通利承(KULクール

阪急電鉄が「ハタコトレイン」と称して行なった中吊り広告企画が主に悪い意味で話題だ。

企画内容は,「働く人達を応援しよう」という趣旨のもと,書籍『はたらく言葉たち』に収録されている「働く人達の名言集」を中吊り広告で読ませるものだ。その内容に違和感を覚える人が多かったようだ。

その中でも,とりわけ技術関係者の目を引いたのは,「仕様書どおりにつくるエンジニアはいらない。まだ世の中にないものを、作ろうとしているのだから。」という言葉ではないだろうか。

『はたらく言葉たち』を読んだわけではないが,ネットに晒されている言葉を見る限り,そう考えている人がいてもおかしくない,という内容が多い。反論したくなるのも含めて,割とリアルな言葉なのかもしれない。

この「仕様書どおりにつくるエンジニア」批判も,似たようなことは昔から色々な分野で言う人がいて,それを聞くたびに私は違和感を覚えていた。

件の言葉は半導体企業経営者のものらしく畑違いなので,ここからは柔品(ソフトウェア)開発でよく言われることに置き換えての余談だが,「仕様書どおりにつくるエンジニア」は凄い。少なくとも「来た球を打つバッター」くらいには凄い。

大体の現場で問題になるのは,まともな仕様書が無いことであったり,仕様書通りに実装するエンジニアの能力がないことなので,「仕様書どおりにつくる」ことが出来る現場には何の問題もない。

発家ハッカー)がよくやる,道なき道を直感で突き進むような仕事もあるが,それは最初から仕様書の作りようがない仕事だからで,仕様書を無視することとは違う。

それでもこういう言葉が出てくるのは,上流工程や上層部の人間には「適当に指示すればエンジニアが何か気を効かせて凄いものを作ってくれるだろう」という漠然とした期待を持っている人が多いからだろう。

もちろん,現場の意見を上手く吸い上げるような社内環境が作れていれば,それも一つのやり方と言えなくもないが,現実には現場が混乱する「丸投げ」でしかないことが多い。

結局,「ハタコトレイン」の失敗は,一つの考え方としてなら完全に否定は出来ないな,というくらいの等身大の言葉を,あたかも普遍的な名言のように展示してしまったことにあるのだと思う。

出力論組プログラム虎哲*イチ 1.01
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