ドワンゴに反骨精神などもともと無かった

描主宇田川浩行K#F85E
上描き希哲7年(2013年)
07月30日 23:08
下描き希哲7年(2013年)
07月30日 20:04
利承
ライセンス
希哲館普通利承(KULクール

最近,ネット メディアテレビ化について考えることが多くて,ニコニコ動画にもよく言及していた。そんな折に飛び込んできたニュースによれば,ついに NTTドワンゴが業務提携するそうだ。

ネットの反応では,技術・資本面での成長を単純に期待する声も多いが,やはり「(コミュニティとして)面白くなくなる」とか「体制に飲まれた」とかいう感想も少なくないようだ。その中で「反骨精神が無くなった」というような意見もあったが,これには同意できない。ドワンゴに反骨精神などもともと無かった

ニコニコ動画は,最初は YouTube に寄生していたし,ドワンゴニワンゴも大企業や政治家の縁故者を利用するなどかなり強かに権力・権威に歩み寄っていた企業である。これはいまに始まったことではなく,どちらかといえばドワンゴの伝統に近い。

よく誤解されることなので,何度でも強調する。ドワンゴもニコニコ動画も,もともと反骨精神など持っていなかった。ついでに言えばニコニコ動画は,「時報」なんてものを導入するほど,もともとネットの中では際立ってテレビ的なメディアだった川上量生氏は「メディアの未来に興味がない」とブログに書いていたぐらい,良くも悪くも一枚岩の理念を持たない経営者である。昔も今もこれからも,「醜いマスコミに対抗してくれる正義の味方」などでは決してない。

そしてそれこそがドワンゴ,ニコニコ動画成長の鍵だったように思う。高尚な理念というのは,少なくとも短期的には経営の邪魔になる要素である。技術がある企業,アイデアがある企業はたくさん存在する。なぜ彼らがあまり成功しないのかといえば,プライドや「美学」が邪魔しているということが少なくない。恥も外聞も捨てて利益に喰らいつく,というのは実はとても難しいことなのだ。

それがどんなに軽薄であろうと流行を利用することには貪欲で,どんなに卑しくとも権力や権威にすり寄ることに躊躇しない。この性格ほどメディア企業としての強みはない。いくら流行に敏くても,中途半端に反骨精神を持って潰された有名な例もある。それぐらい,反骨や理想というものは重い。重い重い巨岩である。本当に反骨精神なんてものを背負っていたら,ドワンゴがここまで成長することは無かっただろう。

恐らく,経営者ならばこれを是とするか非とするかが分かれ道になる。高邁な理想を掲げて成功する起業家など一握りの成功者のうちでもさらに一つまみ程度にしかいない。ジョブズのような華々しい成功者の陰で,失敗して関係者を路頭に迷わせている理想家が星の数ほどいる。マキャベリアニズムではないが,どんな手段であれ成長している企業は,従業員とその家族,関連会社を養っているのである。

以前も描いたように,ニコニコ動画は拡大するが長く続かないと私は思っているし,今回の件もその一過程として捉えている。理由は既に書いてあることなので繰り返さない。

ただ,ニコニコ動画が終わった後にドワンゴという企業自体がどうなるのか,私には予測がつかない。ドワンゴの強みは「いざとなったら簡単にニコニコ動画を捨てられそうなところ」だと思うので,その意味ではかなり粘り強く生き残っていきそうな気はする。しかし,強かさだけあっても意味がないので,新しい商品なりビジネス モデルが掴めなければやはりニコニコ動画と共倒れということになってしまうだろう。

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