これまで輪符の輪結装体 は 1px #999 の破下線にしていたが,通常の線の色は lightgray,引用部区など WhiteSmoke 背景の上では silver と,かなり薄くした。強調記法に単独で囲まれた輪符に関しては,silver の一本下線にし,少し目立つようにした。
これにより,輪結の重要性に応じてメリハリが付くようになり,重要性や変調をさりげなく示唆したいような場合は軽い強調,はっきり強調したい場合は重い強調というように,強調記法と組み合わせた「強調輪符」の記法が確立した。
輪符自体を強調するのではなく,参照名を強調したいのであれば内側に強調記法を置くことも出来る(例:軽い強調,重い強調)。
経緯
長い歴史
輪符の表示をどうするかという問題は,デルン最初期からの課題だった。
最初は重要な輪符を少しずつ貼り付けるような使い方しかしていなかったため大きな問題ではなかったが,いずれ文中に輪符が増えてくれば,重要性によって表示し分ける必要が出てくる,というのは当初から想定していた。元々,入力道手の機能や自動補完などで文章のほとんどが意味符号になるような技術として構想していたからだ。
実際,デライト以後,私自身の慣れとデライトの品質向上によって自然と文中に輪符が増えてきた。現在,私の描出ではほとんどの語が輪符であり,輪結になっている。こうなると,閲覧者にとっては,どこが重要な輪結なのか分からない上に,中途半端に目立つ輪結だらけで見にくいという問題が出てくる。
もう一つ,輪符に関する問題があった。輪符の知名を変えて参照したということが分かりにくいという問題だった。輪符の知名を変えたということが読み手にとって重要なことがあるが,これまでそれを表現する良い手段が無かった。
どちらの問題も,少し前までは自動的に解決出来るのではないかと考えていた。例えば,前景輪にある輪符を自動的に強調表示したり,知名と異なる名前で参照された輪符を斜体にするなどということを考えていた。
ただ,これは描出経験を積むにつれ無理があると感じるようになった。
まず,時として膨大になる前景輪に一致する輪符をいちいち見つけるのは現実的ではない。見えている10輪に限定するのも不自然な見え方になるだろう。輪符の参照名をいちいち照合するのも軽い処理ではない。
描写に隠し文字列でも埋め込めば負荷軽減にはなるだろうが,依然として無視出来ないコストではある。何より,出与えの一貫性や保守性に深刻な影響を及ぼすことは目に見えている。
それ以前に,自動装体を適用すべきではない場合が多々あることも分かってきた。全知検索との兼ね合いも考えると,文中で目立たせたい輪符と引き入れたい輪郭はむしろ一致しないことの方が多い。
知名に関しても,例えば,「知る」という輪郭を「知って」のように語形を変えて参照することも増えてきた。明らかに自動装体にすべきではない,瑣末な場合が多々ある。
最近では,デラング整備の進展もあり,これは手動装体,つまり何らかの記法で対応すべきなのではないか,と考えるようになっていた。
今日の進展
こうした問題の解決に向けて本格的に考え始めたのは,まさに今日,昨日の日記を付けていた時に,「希哲15年6月20日の開発」という輪郭を「開発では」として参照した時だった。この「開発」が,一般的な意味での開発なのか,特定の日の開発を指しているのか,一見して分からない。これは以前からずっと気になっていた問題だが,そろそろ何とかしたいと思った。
重い強調を使ってみたりもしたが,重過ぎる。そこで軽い強調を使ってみることにしたが,軽い強調は欧文向けで,斜体・伊体に依存した装体は避けたかった。ここで,強調輪符の下線を調整することを考え始めた。
強調輪符をいかに目立たせるか,ということを考えているうちに,そもそも輪符の輪結全般が目立ち過ぎていることに気付いた。というより,これまではこの輪結装体が軽い参照も重い参照も表現していたので,気付いてもどうしようもなかった。ここで,通常の輪符と強調輪符でメリハリを付けることを考え始めた。
破線は太くすると環境によって全体的に大きくなり短い語では破線らしく見えなかったりするため,一本下線にすることを考えた。もともと点下線・破下線・一本下線で輪結の強さを表現した装体で,一本下線は前景輪のために取っておいたが,前述の理由で未使用だった。ここで,輪結装体に関する問題全般と繋ってきた。
通常の輪符に関しては,いっそのこと下線類を無くしてもいいかと思ったが,流石に文字色だけでは心許無い。視線の流れを遮ることなく,視線を止めれば容易に輪結と視認出来る按配を理想として,破下線の色を極力薄くすることにし,白背景なら lightgray,引用部区など WhiteSmoke 背景の上では silver が最適と結論付けた。
(Firefox で調整していたためもう一段濃い silver と darkgray の組み合せで決めかけたが,他の環境では破線密度の差でまだ濃過ぎるように見えたため,まとめ中に修正)
強調輪符の一本下線に関しては,薄い色では弱いように思え gray を試したが,明示的に下線を引きたい場合のために下線記法を導入することも考えているため,兼ね合いであえて silver にしておくことにした。
まずは CSS のみでの出振るい。only-child で複数の輪符には効果が跨らないようにしてあるが,テキストノードは含まれうる。本来は一つの輪符のみを強調した時の効果であるべきだが,とりあえずは十分だろう。
総括
開発記録に書いておく。