この前,GNU プロジェクトあるいはフリーソフトウェア財団と,希哲館(KTK)あるいは希哲社との自由観の差について描いた(GNU と KTK,それぞれの「自由」)。
今日,昔のリチャード・ストールマン氏の講演記録(<a href="https://www.gnu.org/gnu/rms-lisp.ja.html">「わたしの Lisp の経験と GNU Emacs の開発」</a>,2002年)をたまたま見つけて眺めていたのだが,これがとても興味深い内容だった。
シンボリックス社によって MIT 人工知能研究所(AI 研)のハッカー文化が骨抜きにされ,それがストールマン氏のフリーソフトウェア運動に繋がっていった,ということは知っていた。この当時,同じ AI 研発の企業としてシンボリックス社に対抗したリスプ・マシン社(LMI)があった。実は,このリスプ・マシン社,創業者リチャード・グリーンブラット氏が「ハッカー文化の尊重」を掲げて立ち上げたものらしい。しかも,希哲社と同じく,外部の資本を入れない,という強い方針を持っていたらしい。この事実は見過していた。
そして,ストールマン氏は当時,シンボリックス社に対抗するために,リスプ・マシン社の肩を持ったことがあると語っている。このあたり,現在のフリーソフトウェア事情に対して私が抱いている危機感に重なるものがある。