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今月4日,スタジオジブリがアニメ制作から一時撤退し,版権管理を主体に存続していくことが明らかになった。宮崎駿氏の引退後,有望な人材が見つからないことによるという。撤退というよりは,「休止」の意向らしい。この報道は世界をかけ巡り,身請け話に関する噂も持ち上がっている。宮崎氏引退の時点で多くの人が漠然と予想していたことかもしれないが,映画界・アニメ業界にとっては重要な話題だ。
私が最後に観たジブリ作品は,高畑勲監督の『かぐや姫の物語』だった。良作とは言えるが,かつてのジブリ作品を超えるような衝撃は無かった。その後の作品についても,一定の質は保っているが,画期的と言えるような作品は登場していない,というのが一般的な評価だったように思うし,ジブリ作品の求心力が落ちているのは明らかだった。先の FIFA ワールドカップにおける,ネイマール負傷後のブラジル代表みたいなものかもしれない(ネイマールという主力選手に頼っていたブラジル代表は,その後歴史的大敗を喫した)。
個人的に,ジブリへの印象が悪化したのは,プロデューサーの鈴木敏夫氏があちこちで露出し始めたころからだ。正確には,露出した始めたように私が感じたころからなのだが,どうにも俗っぽさが臭うようになってきた。極めつけはドワンゴのイベントに協賛していたことで,「悪趣味」という印象が拭えなくなってしまった。ジブリ作品が持っていた「清らかさ」が汚されてしまったというべきか。これは本当に残念だった。
そのドワンゴ(と角川)がジブリを買収するのではないか,などという噂も持ち上がっているが,こればかりは最後の良心というか,感性が腐っていないところを見せてほしいと願う。せめてディズニーだろう。これでも,日本の映画・アニメ史上重要な作品を数多く残しているスタジオであることは事実なのだ。版権物を買いたくなくなってしまうようなところには行ってほしくない。もっとも,高齢化の著しいジブリに,IT 音痴のおじいちゃんを騙すのが得意な「IT 企業」の本質を見抜いてくれというのも酷な話かもしれない。最悪の結果になれば,もうこれまでのジブリとこれからのジブリは別物とみなすしかない。