ナビゲーション(英語:navigation)は,主に航海を意味する英単語だが,転じて案内・誘導といった意味でも用いられる。日本語では「ナビ」と略されることが多い。私は以前,これを「靡び」(なび)と訳していたことを思い出した。想起検索さまさまだ。
古い日本語に,「なびかせる」という意味の「靡ぶ」(なぶ)という言葉がある。これを単純に名詞化したのが「靡び」だ。「なびく」というのは,風などに従って物が動くことを表わし,言いなりになるとか,服従するといった意味でも使われるが,これを使役表現にして「誘導する」の意で使う。日本語に馴染んでいる「ナビ」を,そのまま日本語とみなしてしまおう,という戦略の訳語だ。
カー ナビゲーションは「車靡び」(くるまなび)とでも表現出来るだろう。「カーナビ」に比べるとやや冗長だが,もはや略語ではないので正式にも使える,という利点がある。もちろん,「靡」は常用漢字ではないので「なび」とひらがなで書いてもいい。