人類の危機に備えて生活するプレッパーを取材したドキュメンタリー。全12話。
現在 Hulu でも視聴可能な『プレッパーズ~世界滅亡に備える人々~』(ナショナル ジオグラフィック チャンネル)というドキュメンタリー番組が面白い。
来たる「人類の危機」に備えて,ひたすら食料を貯め込んだり,シェルターを作ったり,戦闘訓練を積んだりしながら生活しているアメリカ合衆国の「プレッパー」達を取材したもので,そのほとんどは「変人」あるいは「狂人」のように見える。番組内でもしばしば本人達が異常であることの自覚を語っているし,ややそのように演出されている感もある。
私はまだ5話までしか見ていないが,ここまで見て面白いと感じたのは,そんな変人達の共通項だ。
その一つに,「責任感の大きさ」があると思う。みんなかなり根が真面目そうだし,変人であっても悪人では決してない。家庭を持っている人は「何があっても家族を守りたい」と語るし,ある独身の女性は社会を守るという正義感から軍隊に入った。彼らは口を揃えたように「将来の危機に備えないのは無責任」といった考えを語る。確かに「リスク マネジメント」の観点から正しいのは彼らの方かもしれない。一見,多大なコストをかけているようだが,そんな生活をどこか楽しんでいるようにも見える。もちろんみんな本気だし「趣味ではない」と言うのだが,そういうことが気付かないところで「生き甲斐」になっている可能性だってあるだろう。
もう一つ,彼らはみんな最後の自衛手段として「銃」に行き着く。この番組では,極限状態を想定した生活を送っている人々の,銃に対する強い信頼が生々しく描かれている。これはアメリカにおける銃社会を考える上でも興味深い。