民営化する政府

描主宇田川浩行K#F85E
上描き希哲13年(2019年)
07月11日 00:35
下描き希哲13年(2019年)
07月10日 21:51
利承
ライセンス
希哲館普通利承(KULクール

9日米国公職にあるトランプ氏が Twitter 上で他の利用者をブロックする行為は違憲にあたる,という控訴審判決が出た。

トランプ政権公私混同現代先進国では突出してひどい状況にあるが,これは現代民主主義を一早く成熟させた米国が一早く腐敗しはじめた,という現象なのではないかという気がしている。

日本でも,まだ程度は軽いが似たようなことが物議を醸し始めている。内閣総理大臣の地位にある安倍晋三氏や政府要職にある者が Twitter 上で批判的な利用者をブロックしていることがしばしば話題にのぼるようになった。遅かれ早かれ,先進国はどこも似たような状況になるだろう。

古から,政治とは,多様な「」の対立を偏りのない「」の精神で調停するものだと考えられてきた。日本人天皇像はその典型だといっていい。

しかし,SNS の普及期あたりから,この伝統的な政治観が大きく揺らいでいるように見える。有権者は自分の利益だけを考えて投票し,政治家はその支持者達のためだけの政治をする。いわば,「政府民営化」とでもいうべき現象がある。

私がこの風潮を明確に感じたのは,やはりトランプ当選という出来事からだった。少なからぬ人々が,「実業家なら政府をもっと賢く運営出来るのではないか」という趣旨のことを語っていた。私はこれに政治教育の敗北を痛感していた。

政府の運営と民間企業経営の最大の違いは,「支持層」の捉え方にある。

民間企業というのは,たとえ国民の9割に嫌われても,1割が熱心に支持してくれれば十二分に成り立つ組織だ。むしろ,誰にも嫌われないかわりに誰にも好かれないよりは,大多数を敵に回してでも一部の熱狂的な味方を付けた方が良いということさえある。だから「炎上商法」などというものが成り立つわけだ。

政府はもちろんそういうわけにはいかない。それぞれの支持母体はあっても,一国をまとめる立場に立てば,全ての国民を代表するための努力をしなくてはならない。なぜなら,そうしなかった国々が内紛で疲弊し,荒廃し,滅んできた歴史があるからだ。

それでも,有権者理性ではなく「本音」という名の私心に訴えて一時の権力を得ようとする政治家は後を絶たない。彼らは,詐欺師がカモにをすすめるように,「あなたの願望だけのために投票すればいいんです」と囁きかけ,有権者の理性を失なわせることに腐心する。

そういう時は,身近な「リーダー」を選ぶ時のことを思い出してみてほしい。たとえば学校職場の,せいぜい数十人くらいの集団でリーダー役を選ぶ時,多くの人は,自分の好みはさておき,「皆をしっかりまとめられる人」を選ぶ。その集団がまとまらなかった時の実害が想像しやすく,自分の投票責任も重いからだ。

ところが,この集団が千人,一万人……と大きくなっていくにつれて,自分が千分の一,一万分の一……と小さくなっていく。誰が選ばれようが,どこか遠くの出来事のようで,現実感責任感も薄れていく。こればかりは想像力で補うしかない。

民主主義というのは,大衆政治を担えるだけの理性を保っていてはじめて健全に成り立つものだ。良識を失なった政治家と,理性を失なった有権者との蜜月の先には,衆愚政治しかない。更にその先には民主主義を嘲笑う独裁者が待っているのだ。

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昨日こんな文章を書いたが,有権者が自分の利益のみを追求して政治家を選んでもいい,という「誤解」は,恐らく経済学でいう「見えざる手」を期待しているのではないか,という気がする。残念ながら,政治には利害関係を自動的に調整してくれる仕組みは無い。当の調整する者を選ぶのが選挙

民営化する政府

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