飼育しやすさ,飛翔能力,帰巣本能に優れる鳩(カワラバト)を利用した通信手段。優れた帰巣能力は地球磁場を鋭敏に感知する能力に由来すると考えられる。1,000km以上離れた地点から巣に戻ることができるといわれる(日本列島の両端を結ぶ直線距離は約3,000km)。
古くは西暦前約5000年頃のシュメール,最近では1960年代ごろまで軍事用・報道用に広く使われた。
無線通信などに対する利点
電気が必要ない。軽量な物資(フィルム、薬品など)であれば運搬できる。
使用法
鳩を遠隔地へ輸送,輸送先で足に通信文を入れた筒を付けて放すと,飼育されている鳩舎に戻ってくる。
歴史
西暦前約5000年,シュメールの粘土板に使用を窺わせる記述がある。
西暦前約3000年,エジプトで漁船からの連絡に使われる。
古代ギリシャのポリス間の通信に使われた。競技会の優勝者が、故郷への便りに使った。
古代ローマで通信手段として広く使われた。
1850年,ロイターの創業時は伝書鳩が主な通信手段だった。
第二次世界大戦時のイギリス軍は約50万羽の軍用鳩を飼っていたといわれる。ドイツ軍は対抗手段として,タカを訓練して襲わせた。