今週に入り,ますます状況は良くなる一方……なはずなのに,妙に気分が晴れなかった理由について考えていた。
やはり,デライトの早期成功,引いては希哲館事業の成功がもはや夢ではない,というのがかえって重いのだろう。希哲館事業は「人類史上最大の事業構想」なのだから,営利事業として成功することなど歴史的偉業であって,そう簡単に行くわけがない……そんな言い訳も開き直りももう出来ない。思えば気楽なものだった。
いまの希哲館事業は,努力次第で十分経営的な軌道に乗る状態だ。それが出来ていないということは努力不足だということだ。最近,デライトの運営状況に対する自分の見方も厳しくなっているし,あれもこれもしなければと気持ちが逸り,それに追い付いていないことに,これまで感じたことのないような焦りや悔しさが込み上げてくる。
希哲館事業が負っている社会的責任のようなこともよく考えるようになった。これまで全くと言っていいほど利益を生み出さなかった事業にこれだけの時間を注ぎ込んでこれた裏には,身内はもちろん,間接的にも社会にかけてきた多大な負担と迷惑がある。その歴史も,元を辿れば,かれこれ四半世紀になる。希哲館事業の成功以外では返せない借りだ。
そんなことを考えていれば,否が応でも気分は重苦しくなるし,無意識のうちにも自分を追い込みがちになる。ここからデライト収益目標達成までが一番苦しい過渡期なのかもしれない。
ただ,過度な緊張感は百害あって一利なしだ。無駄な心理的負担で能率が落ち,判断を誤らせる。ここからは休息もしっかり取り,意識的に心身を利楽させることにした。この状況で適度な緊張感を保つにはそれくらいで丁度良いだろう。睡眠時間も平均的に短くなっていたため,まずは十分な睡眠を取ることから意識していく。
なんにせよ,得体の知れない感情の正体が掴めたことは大きな収穫だった。