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{隠れすぎた傑作『SoltyRei』 K#F85E/4317}

『SoltyRei』(ソルティレイ,2005年2006年というアニメ作品がある。私はついこの前 Hulu で観たのだが,これが「隠れすぎた傑作」とでもいうべき出来で,作品の質とは何かということを改めて考えさせられる。

この作品,とにかく初印象が悪い。200X年代の作品にしては絵もどことなく古くさいし,序盤はやりたいことがハードボイルドなのかロボットなのか,いわゆる「萌え」なのかもよく分からずゴチャゴチャした印象で,私もながら見でなかったらとても観ていられなかったと思う。中盤あたりから話がまとまってきて,<ruby><rb>柄工</rb><rp>(</rp><rt>キャラクター</rt><rp>)</rp></ruby>の魅力も出てきて,面白いと思えるようになってくる。

そのまま終盤にかけて右肩上がりで面白くなっていくのだが,それでも全体的には良く言って「秀作」止まりかという感じだった。ところがラスト シーンで私の最終的な評価は一気に「傑作」となった。それほど秀逸なラスト シーンだったと思うのだが,このシーンも隠れすぎている。別にいまどき珍しいことではないが,この作品もエンドロールが二段階になっていて,このラスト シーンは二つのエンドロールに挟まれている。だから,最初のエンドロールで終わったと思って見るのをやめてしまうと,結局それほど強い印象が残らない構成になってしまっている。しかも,最初のエンドロールが流れた時点で話としてはそれなりに完結しているから紛らわしい。このシーンがただの「おまけ」ならそれでも良いが,作品の完成度を左右するシーンであるだけにもったいない。

この『SoltyRei』と対照的な作品として,『キルラキル』2013年2014年が思い浮かぶ。『キルラキル』は,最初からとにかくあちこちで評判が良く,私も高い期待感をもって観ていた作品だ。ただ,第三話の主人公覚醒シーンが最高の盛り上りで,ここを超えられずに不完全燃焼で終わってしまったという印象が個人的には強い。平均的には『キルラキル』の方が圧倒的に質の高い作品だったと思うのだが,最終的な印象では「秀作」止まりだった。つまり,私の中では『SoltyRei』の逆転勝ちということになる。

『SoltyRei』のように,最後までちゃんと観てくれそうな人が少ない作品ほど,積極的に紹介したり勧める人が必要だ。というわけで,本作は最後の最後まで辛抱強く観続けることをお勧めする。