(ひょういもじ; 英:ideogram,ideograph)
一字が基本的に意味を表し,必ずしも言語の特定発音を表さない文字。近代以前の日本語における漢字など。同時に発音との関係が明確で単語や形態素に対応するものは表語文字といい,広義にはこれを含むが,狭義には表語文字を除いたものを指す。↔ 表音文字
(かんじ)
かつて「漢」と呼ばれた中国で発達した文字体系。またその各文字。
中国語の表語文字として発達し,日本語など他の言語では当初ほとんど在来語に対応しない表意文字として利用されたが,近代以後の日本語では漢字音や用法の整理・定着により表語文字としての性質が強くなっている。かつては東アジアで広く国際的な漢字文化圏を形成するも,現代ではほぼ中国語と日本語のみで常用されている。とはいえ,世界でなお約15億人が使用しているとされ,使用人口は世界最大のラテン文字に次ぐ規模である。
漢字は伝統的に「表意文字」(英:ideogram)と分類されてきたが,近年では「表語文字」(英:logogram)とされることが多い。これは,言語学の進歩に加えて,各言語における漢字の使われ方や位置付けが時代とともに変わってきていることにもよる。
ある言語の表語文字は他言語に借用されれば表意文字になりうるし,それが語彙に定着・浸透することでまた表語文字にもなりうるわけで,漢字は表意文字としても表語文字としても使われうる文字である,というのが妥当な説明だろう。